オールドコース ゴルフ聖地巡礼の旅

ゴルファーなら一度は夢見る

オールドコース
ゴルフ聖地巡礼の旅

オールドコースでのプレイはまさに厳かな儀式だ。
1番ホールを見守るように建つR&Aの建物に威圧感さえ感じ、百戦錬磨の強者プレイヤーでさえ緊張する。名前を呼ばれるといよいよティーショットだ。“神の手”が造ったといわれる舞台で18ホールのドラマが始まる。

聖地のスタートホールはドラマの幕開けにふさわしい

トッププロでさえも手が震えるというオールドコースの1番ホール。そのティーグラウンドは、ゴルファーにとっては夢の舞台といえるだろう。目の前には16世紀からほとんど変わっていないという〝神が造ったコース〟が広がり、背後には世界のゴルフの総本山と称されるロイヤル&アンシエントゴルフクラブ(R&A)が静かに見守る。そのなかで、プレイヤー一人一人の名前が呼ばれ、18ホールのドラマが幕を開ける。
600年もの間変わることのないと言われるコースは、一見フラットで優しいコースに見える。しかし数ホールもすれば、その印象は間違っていたことに気づかされるゴルファーがほとんどだ。

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1番ホールのフェアウェイは18番ホールと共通。フラットで広く、バンカーもないため他のホールに比べると比較的やさしい。ティーから130ヤード地点を横切る道路は海に向かう人や車が通り、オールドコースが市民のためのコースであることを教えてくれる。

112個のバンカーは強い海風が作った自然の窪地

セントアンドリュース湾の脇に位置するオールドコース。そこはいつも強い海風に吹きさらされてきた。112個あるバンカーはその海風によって作られたもので、形も大きさもさまざまだ。何気なく見えるバンカーでも入ってみると軽く人の背丈を上回り、縁が垂直に切り立っているポットバンカーも少なくない。
バンカーそのものの数はけして多いというわけではないが、そこにトラップが潜んでいる。多くのバンカーがアンジュレーションの影で見えないのだ。そしてポットバンカーに入れてしまうと、〝人生の挫折〟をたっぷりと味わうことになる。
2000年にオールドコースで行われた全英オープンで、史上最年少グランドスラムの偉業を成し遂げたタイガー・ウッズが「勝因は?」と聞かれて、「バンカーに入れなかったことだよ」と答えた話はあまりに有名だ。たしかにスコアメイクのためにはバンカーは避けたいところだが、初めての挑戦ならあえてバンカーショットに挑んでほしい。ゴルフが「あるがままを受け入れるスポーツ」であることを気づかせてくれるに違いない。

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14番ホール、ヘル(地獄)バンカーと呼ばれる最大のバンカー(写真上)。大きさもさることながらその切り立つアゴの高さに思わず息を呑んでしまう。このホールではグリーンを狙うことより、バンカーに捕まらないことに全神経を使う。他にもポットバンカー、ロードホールバンカー……など、ゴルファーを悩ませるバンカーが各ホールで待ち構えている。

フィニッシュを目前に記念撮影で思い出づくり

18番のフェアウェイ途中にあるスウィルカン・ブリッジ。
ここはオールドコースでプレイした証として、プレイヤーたちが記念撮影をするポイントでもある。
ゴルフが生まれたときからその歴史を静かに見守り続けて来た橋、この橋を渡るときの深い感動は、ここでプレイした者にしかわからない。

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トムモリスの名が付けられた最終18番ホールへ

コース内をうねるように流れるスウィルカンバーンにかかる石造りの橋がスウィルカン・ブリッジだ。名選手が引退する時、この橋の上で記念撮影をするようになったのはいつ頃からだろうか。それに倣ってプレイヤーたちはここで記念撮影をする。
この橋を目の前に、「トムモリス」の名がつけられた最終ホールのティーショットを放つ。1番では威圧感さえ感じたR&Aの建物が優しく見守ってくれているかのようだ。そして、最終ホールのグリーンでは地元の人たちが見守るなかでのフィニッシュ。こうして聖地オールドコースでの18ホールは幕を閉じるのである。

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乗用カートがないオールドコースでは雨が降っても、強風が吹いても、ミスショットをしても、18ホールを自身で歩いてプレイしなくてはならない。手引きカートの利用も制限されているため、重いゴルフバックを担いでくれるキャディは必須だ。古き良き町の景観、リンクスの自然の風を感じながら本来のゴルフスタイルを楽しめるのもオールドコースの魅力の一つである。

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